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「グラン・トリノ」 俳優の幕引きを考える映画
今週からお盆休みを取っていらっしゃる方も多いようですね◎◎

管理人みるくは7月に日食休み(笑)を取ったので
今年のお盆は帰省することもなく、普通に出社してますが、


取引先もお休みのところが多く、
まーったく仕事になりゃしません~|壁|ヽ(;*´ω`)ゞ ァィャー


いっそのこと国民の休日にしてくれないだろうか、、、と
明日からバケイションな同僚を横目に見つつ嘆いてみたり。



ところでー、

「明日から3日間お休みです」と突然言い渡されたらどうします?


旅行に行くには急すぎるし、
ゴロゴロ無意に過ごすには長すぎる。


みるくは、

「大好きなんだけど、見たら3日はアンニュイになる映画」

をしこたま鑑賞します。



それは例えば

「ホタルの墓」
「西部戦線異状なし」
「ホテル・ルワンダ」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
などなど


一度見て、すごく衝撃を受けたんだけれども
次にまた見るには、なかなか度胸と時間がいりますよ、ってなラインナップで、


3日は家にこもれる、という時に見て
マントルの底あたりまで凹んで、3日の間で何とか浮上するという、
まるで、ひとりSM劇場



そして、このリストにまた新たな作品が加わりました。


まるで頬を思い切りぶたれたかのように、
痛くて痛くて、たまらない優しさでした。


「グラン・トリノ」




... Read more ▼
内容紹介

妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。
人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。
そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。学校にも行かず、仕事もなく、自分の進むべき道が分からない少年タオ。
彼には手本となる父親がいない。
二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった。
ある日、ウォルトが何より大切にしているヴィンテージ・カー<グラン・トリノ>を、タオが盗もうとするまでは ――。
ウォルトがタオの謝罪を受け入れたときから、二人の不思議な関係が始まる。
ウォルトから与えられる労働で、男としての自信を得るタオ。
タオを一人前にする目標に喜びを見出すウォルト。
しかし、タオは愚かな争いから、家族と共に命の危険にさらされる。

彼の未来を守るため、最後にウォルトがつけた決着とは――?




草薙素子ばりに「マッチョだわねえ」と笑ってしまうのは簡単で、


でもこの映画に登場する老人ウォルトが

古き良きアメリカの代名詞とも言える
クリント・イーストウッドが、自らの俳優人生の幕引きのために用意したキャラクターであるということで
また意味合いも変わってきます。



数々の戦争を体験し、
最良の70年代を過ごし、
常にフロンティア精神を持って世をリードしてきたアメリカは、

暗雲の21世紀を迎えています。


基幹産業である自動車は、エコカーの時代に乗り切れず壊滅状態。
世界の警察と呼ばれた威厳は影をひそめている。



そんな現在のアメリカを、
常に社会を、そして自己の世代を映画に投影してきたクリント・イーストウッドが描くと、
なるほど、あのデトロイトになるわけです。




東洋人に侵食された街で、
意固地で偏屈なまでの高い矜持でもって、
唾と悪態を吐きつつ、ライフルで武装する孤独な退役軍人の、元自動車工の男。


自らが身を律した価値観全てが否定されているような現実で
1人生きる孤独は深いのでしょう。



しかし、軍事大国アメリカの消えない傷痕として、
今なお戦争の心の傷を抱える多くの退役軍人がそうであるように、
ある種、社会を拒絶して生きている。




けれども、
この映画に鳥越俊太郎氏が寄せているコメントのように
人はいつでも、変わることができるのです。


オバマさんがアメリカ大統領に就任し、
世界に対し協調路線を打ち出したことも、
変化するアメリカの大きな動きではないでしょうか。


若い世代が変わろうといううねりを見せ、
体力を奪われたアメリカという大きな国家が、ようやく再び胎動を始めたその時、

旧いアメリカは何を変えて、何を残していくべきなのかー



この映画は、
俳優クリント・イーストウッドなりのAnswerなのかもしれません。





ありがちな旧いアダムと新しいアダムのイニシエーションの映画と言えないのは
やはり、あのあまりに圧倒的なラストのせいでしょうか。


抱きしめるでも、包み込むでもなく、
己の誇りや矜持を折るでもなく、
そして、誰も傷つけることなく、


時代を生き抜いた男が、
新しい世代を守るために、自らの幕引きを見せる。


優しさを、暴力的なまでに強く感じるラストシーンでした。



タイトルにもなっている「グラン・トリノ」とは、
フォードのトリノシリーズのハイグレード車だそうです。

かなりマニアックな車ではあるそうですが、
やはりあのガタイと威風堂々とした佇まいとは

世界中がアメリカに憧れた時代を彷彿とさせます。


キレイに磨きあげられ、ガレージに保管されていたアメリカの「誇り」は
新しい世代に受け継がれることによって、青い空の下を走りだしました。


クリント・イーストウッドの最後を飾るにふさわしい、
優しく厳しく、そして未来に希望を垣間見ることのできる作品だったと思います。


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ひとりSM劇場
ひとりSM劇場とは・・・思わず爆笑です!!
みるくさんのそんなお姿を、お側で是非とも拝見しとうございます(笑)

ラインナップされた映画 + 「グラン・トリノ」、
これだけ観たら3日の間に浮上するのは不可能かも?
休日を延長してもらわねば!!
こんにちは☆
イーストウッドは高齢で現在79歳ですもんね!?
もう引退しますよね。
引退と言っても俳優業で監督業を続けるらしいですね∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

僕はまだ「グラン・トリノ」観てないです(;´▽`A``
機械があったら観ようと思います☆

イーストウッド監督作品といえば
過去に「硫黄島」2部作を観ました。
今度の土曜に「硫黄島からの手紙」がテレビで放映されますね。
No title
>ひめひめさん
苦しいのにやめられないんですよ~(笑

確かに!3日の休みでは足りませんね!
「蛍の墓」とか単体で3日凹むくらいの破壊力あるし。。。。
No title
>yukimasaさん
完全に引退、ってわけじゃないのが救いですが、
もうそんなにご高齢なんですね?!
うーん、エネルギッシュな方だわ!

「硫黄島の手紙」はラスト30分だけを見てないんですよ
(確か外出しなくちゃいけなくて)
テレビでエンディングを確認したいと思います。

教えていただいておりがとうございました~☆
No title
イーストウッドの作品がすべて好きってわけじゃないけど、イーストウッドの映画に対する姿勢みたいなものが素敵だと思っているうさです。
「ミリオンダラー・ベイビー」は好きな作品でした。
「グラン・トリノ」は気になってたのに~ついつい観忘れてました。

ちなみに~「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は観ると3日と言わず3ヶ月くらい凹むので2度と観ないかもしれません。
2度と観ない作品がもう一つ・・・・「バべル」

みるくさんの日記毎日楽しみにしています♪
応援ポチです!
No title
>うさぎぴょん♪さん

あああああああ!!!バベル!!!
確かに、あれも見るのパワーいりますよねえ、、、、

こちらこそ、うさぎぴょんさん♪のレシピ見るの毎日楽しみです☆
というか、みるくはうさぎぴょん♪さんちの子になりたい(笑
No title
はじめまして、redpaprikaと言います。

しまった! というか見逃しました。
レビュー見て余計に見たくなりました。

罪ですね(笑)

イーストウッドってルックスの渋さだけでなく、作品づくりの視点がたまらない。憧れます。

ブログにおこしいただき、ありがとうございました。
映画
こんにちは、コメントありがとうございます。
3日あったらアンニュイになる映画というのは、新鮮な考えですね。
ミルクさんの紹介された映画、興味を引かれました。
No title
>redpaprikaさん
私も「しまった、見てなかった!」と公開最終日に近所の映画館に駆け込んだ派です(汗
9月にDVDが出るので、ぜひぜひレンタルされてください!

イーストウッドの作品作りの視点、私も大好きです。
誰よりも厳しくて皮肉屋で、優しい作り手だと思ってます。
No title
>モカさん
こちらこそ、ご訪問ありがとうございました!
モカさんもぜひ、3日空いたら凹む映画生活で(笑)連休すごされてみてくださいませ。
やっと観ることができました。
イーストウッドの監督としての映画観はうさとは合わないんです。
わかってるけど・・・彼の映画に対する一貫した姿勢が大好きで・・・・
絶対観たいと「みるくさんのブログを読んで」感じました。
やっと観れた感想は、前半120%良い作品・・・・結局後半の最後の最後で~~「やっぱり・・・」でした。
だけど~~その裏切りは、してほしかった結末・・・かもです。
本当にイーストウッドはイーストウッドなのです!!!
そして~~~このうさ的に気に入らないラストシーンのお陰で、媚びない彼を尊敬できるのです!!!
ブラボーーーーイーストウッド!
>うさぎぴょん♪さん
うさぎぴょん♪さんが、、、燃えている!(笑

クリント・イーストウッドは本当に重たくて深い映画を作りますよね。
へこむと分かっていても、やっぱり見てしまうのですよね、、、、

内容的には、ぴょんぴ君たちにはちょっと早いですよね。
旦那様とご一緒に見られたんでしょうか。
お子様がいらっしゃる家庭には、輪をかけてキツい内容ですが
「チェンジリング」もイイ映画なので、ぜひぜひ!


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上映終了が近づいてきたので、駆け込み気味に「グラン・トリノ」を観てきました。 『イーストウッド流オトシマエのつけかた』がお見事で...
★★★★ 「everybody can change !!」 年老いて益々ハイペースで作品を作り続けるイーストウッド。 それでなお、高いクオリティを保ってい...
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