「グラン・トリノ」 俳優の幕引きを考える映画
2009-08-12(Wed)
今週からお盆休みを取っていらっしゃる方も多いようですね◎◎
管理人みるくは7月に日食休み(笑)を取ったので
今年のお盆は帰省することもなく、普通に出社してますが、
取引先もお休みのところが多く、
まーったく仕事になりゃしません~|壁|ヽ(;*´ω`)ゞ ァィャー
いっそのこと国民の休日にしてくれないだろうか、、、と
明日からバケイションな同僚を横目に見つつ嘆いてみたり。
ところでー、
「明日から3日間お休みです」と突然言い渡されたらどうします?
旅行に行くには急すぎるし、
ゴロゴロ無意に過ごすには長すぎる。
みるくは、
「大好きなんだけど、見たら3日はアンニュイになる映画」
をしこたま鑑賞します。
それは例えば
「ホタルの墓」
「西部戦線異状なし」
「ホテル・ルワンダ」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」などなど
一度見て、すごく衝撃を受けたんだけれども
次にまた見るには、なかなか度胸と時間がいりますよ、ってなラインナップで、
3日は家にこもれる、という時に見て
マントルの底あたりまで凹んで、3日の間で何とか浮上するという、
まるで、ひとりSM劇場。
そして、このリストにまた新たな作品が加わりました。
まるで頬を思い切りぶたれたかのように、
痛くて痛くて、たまらない優しさでした。
「グラン・トリノ」
管理人みるくは7月に日食休み(笑)を取ったので
今年のお盆は帰省することもなく、普通に出社してますが、
取引先もお休みのところが多く、
まーったく仕事になりゃしません~|壁|ヽ(;*´ω`)ゞ ァィャー
いっそのこと国民の休日にしてくれないだろうか、、、と
明日からバケイションな同僚を横目に見つつ嘆いてみたり。
ところでー、
「明日から3日間お休みです」と突然言い渡されたらどうします?
旅行に行くには急すぎるし、
ゴロゴロ無意に過ごすには長すぎる。
みるくは、
「大好きなんだけど、見たら3日はアンニュイになる映画」
をしこたま鑑賞します。
それは例えば
「ホタルの墓」
「西部戦線異状なし」
「ホテル・ルワンダ」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」などなど
一度見て、すごく衝撃を受けたんだけれども
次にまた見るには、なかなか度胸と時間がいりますよ、ってなラインナップで、
3日は家にこもれる、という時に見て
マントルの底あたりまで凹んで、3日の間で何とか浮上するという、
まるで、ひとりSM劇場。
そして、このリストにまた新たな作品が加わりました。
まるで頬を思い切りぶたれたかのように、
痛くて痛くて、たまらない優しさでした。
「グラン・トリノ」
内容紹介
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。
人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。
そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。学校にも行かず、仕事もなく、自分の進むべき道が分からない少年タオ。
彼には手本となる父親がいない。
二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった。
ある日、ウォルトが何より大切にしているヴィンテージ・カー<グラン・トリノ>を、タオが盗もうとするまでは ――。
ウォルトがタオの謝罪を受け入れたときから、二人の不思議な関係が始まる。
ウォルトから与えられる労働で、男としての自信を得るタオ。
タオを一人前にする目標に喜びを見出すウォルト。
しかし、タオは愚かな争いから、家族と共に命の危険にさらされる。
彼の未来を守るため、最後にウォルトがつけた決着とは――?
草薙素子ばりに「マッチョだわねえ」と笑ってしまうのは簡単で、
でもこの映画に登場する老人ウォルトが
古き良きアメリカの代名詞とも言える
クリント・イーストウッドが、自らの俳優人生の幕引きのために用意したキャラクターであるということで
また意味合いも変わってきます。
数々の戦争を体験し、
最良の70年代を過ごし、
常にフロンティア精神を持って世をリードしてきたアメリカは、
暗雲の21世紀を迎えています。
基幹産業である自動車は、エコカーの時代に乗り切れず壊滅状態。
世界の警察と呼ばれた威厳は影をひそめている。
そんな現在のアメリカを、
常に社会を、そして自己の世代を映画に投影してきたクリント・イーストウッドが描くと、
なるほど、あのデトロイトになるわけです。
東洋人に侵食された街で、
意固地で偏屈なまでの高い矜持でもって、
唾と悪態を吐きつつ、ライフルで武装する孤独な退役軍人の、元自動車工の男。
自らが身を律した価値観全てが否定されているような現実で
1人生きる孤独は深いのでしょう。
しかし、軍事大国アメリカの消えない傷痕として、
今なお戦争の心の傷を抱える多くの退役軍人がそうであるように、
ある種、社会を拒絶して生きている。
けれども、
この映画に鳥越俊太郎氏が寄せているコメントのように
人はいつでも、変わることができるのです。
オバマさんがアメリカ大統領に就任し、
世界に対し協調路線を打ち出したことも、
変化するアメリカの大きな動きではないでしょうか。
若い世代が変わろうといううねりを見せ、
体力を奪われたアメリカという大きな国家が、ようやく再び胎動を始めたその時、
旧いアメリカは何を変えて、何を残していくべきなのかー
この映画は、
俳優クリント・イーストウッドなりのAnswerなのかもしれません。
ありがちな旧いアダムと新しいアダムのイニシエーションの映画と言えないのは
やはり、あのあまりに圧倒的なラストのせいでしょうか。
抱きしめるでも、包み込むでもなく、
己の誇りや矜持を折るでもなく、
そして、誰も傷つけることなく、
時代を生き抜いた男が、
新しい世代を守るために、自らの幕引きを見せる。
優しさを、暴力的なまでに強く感じるラストシーンでした。
タイトルにもなっている「グラン・トリノ」とは、
フォードのトリノシリーズのハイグレード車だそうです。
かなりマニアックな車ではあるそうですが、
やはりあのガタイと威風堂々とした佇まいとは
世界中がアメリカに憧れた時代を彷彿とさせます。
キレイに磨きあげられ、ガレージに保管されていたアメリカの「誇り」は
新しい世代に受け継がれることによって、青い空の下を走りだしました。
クリント・イーストウッドの最後を飾るにふさわしい、
優しく厳しく、そして未来に希望を垣間見ることのできる作品だったと思います。

にほんブログ村
・グラン・トリノ@映画生活
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。
人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。
そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。学校にも行かず、仕事もなく、自分の進むべき道が分からない少年タオ。
彼には手本となる父親がいない。
二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった。
ある日、ウォルトが何より大切にしているヴィンテージ・カー<グラン・トリノ>を、タオが盗もうとするまでは ――。
ウォルトがタオの謝罪を受け入れたときから、二人の不思議な関係が始まる。
ウォルトから与えられる労働で、男としての自信を得るタオ。
タオを一人前にする目標に喜びを見出すウォルト。
しかし、タオは愚かな争いから、家族と共に命の危険にさらされる。
彼の未来を守るため、最後にウォルトがつけた決着とは――?
草薙素子ばりに「マッチョだわねえ」と笑ってしまうのは簡単で、
でもこの映画に登場する老人ウォルトが
古き良きアメリカの代名詞とも言える
クリント・イーストウッドが、自らの俳優人生の幕引きのために用意したキャラクターであるということで
また意味合いも変わってきます。
数々の戦争を体験し、
最良の70年代を過ごし、
常にフロンティア精神を持って世をリードしてきたアメリカは、
暗雲の21世紀を迎えています。
基幹産業である自動車は、エコカーの時代に乗り切れず壊滅状態。
世界の警察と呼ばれた威厳は影をひそめている。
そんな現在のアメリカを、
常に社会を、そして自己の世代を映画に投影してきたクリント・イーストウッドが描くと、
なるほど、あのデトロイトになるわけです。
東洋人に侵食された街で、
意固地で偏屈なまでの高い矜持でもって、
唾と悪態を吐きつつ、ライフルで武装する孤独な退役軍人の、元自動車工の男。
自らが身を律した価値観全てが否定されているような現実で
1人生きる孤独は深いのでしょう。
しかし、軍事大国アメリカの消えない傷痕として、
今なお戦争の心の傷を抱える多くの退役軍人がそうであるように、
ある種、社会を拒絶して生きている。
けれども、
この映画に鳥越俊太郎氏が寄せているコメントのように
人はいつでも、変わることができるのです。
オバマさんがアメリカ大統領に就任し、
世界に対し協調路線を打ち出したことも、
変化するアメリカの大きな動きではないでしょうか。
若い世代が変わろうといううねりを見せ、
体力を奪われたアメリカという大きな国家が、ようやく再び胎動を始めたその時、
旧いアメリカは何を変えて、何を残していくべきなのかー
この映画は、
俳優クリント・イーストウッドなりのAnswerなのかもしれません。
ありがちな旧いアダムと新しいアダムのイニシエーションの映画と言えないのは
やはり、あのあまりに圧倒的なラストのせいでしょうか。
抱きしめるでも、包み込むでもなく、
己の誇りや矜持を折るでもなく、
そして、誰も傷つけることなく、
時代を生き抜いた男が、
新しい世代を守るために、自らの幕引きを見せる。
優しさを、暴力的なまでに強く感じるラストシーンでした。
タイトルにもなっている「グラン・トリノ」とは、
フォードのトリノシリーズのハイグレード車だそうです。
かなりマニアックな車ではあるそうですが、
やはりあのガタイと威風堂々とした佇まいとは
世界中がアメリカに憧れた時代を彷彿とさせます。
キレイに磨きあげられ、ガレージに保管されていたアメリカの「誇り」は
新しい世代に受け継がれることによって、青い空の下を走りだしました。
クリント・イーストウッドの最後を飾るにふさわしい、
優しく厳しく、そして未来に希望を垣間見ることのできる作品だったと思います。

にほんブログ村
・グラン・トリノ@映画生活
スポンサーサイト